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マーファというところ・あとがき!

Texas

美術館を訪れた次の日、もう一日マーファに滞在。
マーファは本当に小さな町で、1時間で街の端から端まで歩いて往復できてしまうほど。
ジャッドの美術館の影響で、若い芸術家たちがちょっとずつ集まってきてギャラリー経営を始めたりしていますが(ちょうど、中崎町のギャラリーサイズくらい。)
街の経済力には到底なりえないだろう…という感じ。(中崎町みたいに近くに梅田もないし…)
泊まったホテルも、地元テキサスの建築家が現代風におしゃれに改装したという、マーファではちょっと話題のモーテルhotel thunderbirdというところに泊まったのですが、
たしかにおしゃれだけど割高なうえに、サービスもいまいち…そしておしゃれはしてるけれど、せっかく古い建物を改装した利点がまったく生かされていない状態。
ちょうど、街の縮図を見ているようでした…。

それでも、マーファに行く!という人がいたら、私はむしろ勧めると思います…そして私自身、じつはもう一度行きたいとさえ思う。
その理由は本編の美術館と、そしてもうひとつわけが…それがあとがき編です。

ホテルのマップを見ていると、ジャッド美術館の運営を支えているChinati財団の所有するhot spring(=温泉!!!)なるものをみうちが発見。
温泉と聞けば、これは行くしかない。
ホテルの人に行き方を確認すると、
「60mile(100kmくらい。)行ったらあるよ。30mileくらいから舗装のない道なんだけど。絶対お勧め!!!beautifulだから!!!」と。
5時間ドライブとかをこなしてきた今、60mile(100kmくらい。)ということは(普通の計算では)1時間くらいのドライブやし行けるやん!
と、出発。
最初の30mile、舗装の道は、地形の起伏全く無視のまっすぐな道。誰もいない。
次の30mileは…想像以上のでこぼこ道でした。
レンタカーは完全保健なので、がりがり言っても突き進む笑(何かにこすっているのではなく、岩だらけ過ぎて、普通に走っていてがりがりこするのです。)
時速は常に10mile/hか、それ以下。
常に道の片方は崖。しかも、左右交互に崖は現れる。
ハンドルをLAのとき以上に握りしめる。落ちたら死ぬ。
必要最低限の手を加えただけの、かろうじて道、と呼べる感じの、道。
映画の平和なワンシーンの名わき役、「地球の毛」も生えていなくなり、乾燥地帯…見たことのない気味悪いいかにも乾燥地に生えていそうな植物が地球の毛にとってかわる。
暑い…
そしたら突如、その中に異様に青々とした木々の一帯が谷底に…たぶん川のあるところ。
でも、途中川らしきとこを横断したら…乾いている。。。
不気味に人の住んだ痕跡もある…でも廃墟だったり。
60mile中ずっと一本道で、轍もあって、迷いようはない…ナビも一応道を示している。
引き返そうか、
と言いながら、
待って!あのひとやま越えてみよう!
と言いながら、
でもいよいよ引き返そう!
てなった時に電柱と電線が現れて、
やっぱり先に進む笑

電柱と電線を発見してからさらに1.5倍くらいのでこぼこ道を命の危機を感じながら進み(リアルに!)
とうとう到着…といっても看板もない。ナビと見えるものからの予想…
…しまってる!!!!
ゲートのはるか向こうになにかがあるけれど、どうしようもない…
見えているにもかかわらず、歩いていくなんて絶対無理な、あたりの景色。
外に出ることさえもなんだか怖い。
仕方ないのでまた、引き返しました

舗装の道まで戻ってきたときには、達成感でした。
私たち生きてるよ、と。笑
あとはただひたすら直線道をあがったりくだったりするだけ。あたりにはたまに牛と馬が放し飼いにされている以外だれもいないけれど、ガソリンがある限り生きては帰れる。…ガソリン朝のうちにいれといてよかった。。。
…そしたら前方に駐車している白いバンが。
私たちが追い越すと発車して追ってくる。…明らかに私たちが追われてる!!
国境警察でした。
メキシコとの国境が近く、警備しているのだそう。
明らかに怪しくない能天気な日本人2人だと思うのですが、向こうは真剣。
小さい普通の車でhot springを目指すという話が信じられないらしいです。ホテルの兄ちゃん…道のことも少し教えてくれてもよかったのに…笑
2人ともパスポートと、パスポートにたまたま挟みっぱなしにしててはらりと落ちた使用済みの飛行機のチケットも念入りに調べられて、
牢屋に放り込まれることはなく、疑ってごめんねーと言われながら無事解放。

メキシコとの国境問題の深刻な状況は、先学期、レクチャーを受けたばかりでした。(5月に少しだけブログでも触れました…)
メキシコ側から不法入国をする人が後を絶たず、そして入国したあとも、国境付近での死亡者数はすごく高い。収入は低い…
昔はすごく柔軟に対応してきた国境線が、
今は本当に厳重な壁がずっとどこまでも続いている絵が思い出されます。
それを越えて、そしてどんな不安な思いであの地帯を抜けるんでしょう…、
そして、やっと越えたら国境警察に見つかって、牢屋に行くしかない。あるいはそれにおびえながらの厳しい生活。
先学期のあの日、建築のテーマとして、これほどの切迫したものを扱っていたのかとはっとしました。

…とまあ、すごい無茶をしたようなんですが、マーファに着きさえすればマーファの人ならだれでも知っているれっきとした観光地。アメリカ人タフです。
そして、あとでみつけたある人の旅行記には道は大事な観光の一部(しかも結構な割合)として紹介されていました笑
ただ家族が経営している小さな観光地のために、メディアにはあまり載せていないみたいです。
きれい…ぜひ、今度はジープで、いつかリベンジしたいものです!!

Chinati Hot Springs

マーファというところ・本編

Texas

0713 court yard

0713 neko


木陰で、風がそよそよと吹く、めちゃめちゃきもちいい中庭(これも兵士に使われてた建物の改装。U字型になってて、そこに回廊がめぐっている)に座って、そこに飼われている…というか、広大な敷地で気ままに飼われていて人慣れしている野良たちと戯れながらしばし待って、ツアーがスタート。
別のこれまた兵士に使われてた建物にジャッドが半円形の屋根をかけたという建物へ。
そして対面。

コレ!

0713 marfa01

初めて箱の行列の中に入ってみて、ようやく楽しいぞ!と思いました。
自分が動くと箱が現われたり消えたりするんです。
広大な景色と、兵士の建物と、ときどき姿を現す動物と、遠くのコンクリートの箱の列と、自分の姿と、みうちとほかのツアー参加者と、箱のつくる光と影とが現われたり隠れたりします。
人が歩く音と話す声以外にはすごくしーんとしていて、ときどきぴしって音も聞こえます。
…反射素材でつくられた、ただの箱の行列が、ここにたどり着くまでにすっかり見慣れた鳥の飛び出し注意!の草原(「地球の産毛」笑)と兵士の建物とを少しだけ特別に見せてくれます。
いやでもそこに存在している時間のことを考えます。
ほんまに、ここに書く以上に不思議な体験でした。

0713 miuchi

入る人間の数は制限されるし、動物は「放し飼い」だし、「ゲート」は設定されている、あくまで「美術館」、でも、ここでは作品と自分の間の境界線が、特別な形でだけど、少しだけ薄まります。

その性格ゆえに、作品は刻々と変化します…

ツアーの後半、天気は激変。
いっきに曇ったかと思うと、突風、そして稲妻!!!
映画の平和なワンシーンで黄金色に輝く様子を想像させた「地球のうぶ毛」はわさわさと揺れて、
一気に大ピンチの一歩手前のシーンに転換。
このときにはもう、箱の部屋は去っていましたが、あの箱の間を歩いた体験は残っていて、違う様相をたたえてそこにありました。

0713 cloud


文章力がもっとあれば…もしくは文章にするべきものではないのかも?
いずれにしても、なかなか衝撃的でした。頭を使うよりは、感じる、ということが素直にできました。

他にも作品がありましたが、これにつきます笑

…でもふたつほどほかの作品も紹介…

ひとつはおなじくジャッドの作品で、
これらの建物がまだ兵士によって使われていたとき、兵士が壁に書いた絵に、額をつけただけのもの。建物は当時のままなんの手もくわえられていないので廃墟同然です。

もうひとつはあるロシア人の作品なんですが、「朽ちる」がテーマの作品。
建物(これまた、兵士のやつ。)いっこをまるまるロシアの小学校に見立てていて、
ただし朽ちるがままにしています。朽ちてる様子を、すでにつくる段階でも表現しています。
でも、ここは、繰り返すようですが体験型の「美術館」で、
人間は床に落ちてる新聞紙の破片をふんだらダメ。
家具の上のほこりもさわっちゃダメ。
その一方で、動物や風が「朽ちる」の触媒として作用しやすいように、新しい窓やドアが既存の建物に付け加えられていました。
今の「廃墟」に対する考えのさきがけ的な作品。

2つの作品は、手を加えた部分そのものに対して正反対の方向を目指している(保存vs朽ちる)。
でもテーマ(保存と朽ちる)はおんなじです。
…ジャッドのやり方の鮮やかさが際立ちます。

帰りも悪天候の元、少しだけ猫と戯れてから、満足して去りました。

マーファというところ ・はじめに…

Texas

「テキサスいくねん!」
と友達に話すと2通りの返事が返ってきたものでした…
1.「なんでテキサスなんっ!?」
2.「テキサス!いいねー」
回答1の理由は、信じがたいほどに暑い、何もない、何もないのにだだっ広い、怪しいやつはとりあえず牢屋に入れられる(「牢屋にいれられたらその晩の間に一回だけ電話することが許されるから誰に電話するか考えておきなさい。」)、肥満率が高い、男の人が少しでもおしゃれするとゲイに間違えられる(=みんなおしゃれに興味がない)、地域によってはものすごく保守的、など。
そして、回答2をする人ほぼ100%が、ジャッドの美術館のある場所だから、ということが理由でした…

設計の先生、柏木先生の授業でジャッドのことははじめて知りました。
研究室の先生、末包先生の話にも時折出現しました。
シアトルの美術館にも作品があります。
そして、くる前の、ジャッドを知る友達たちの反応。
だけど、美術館にあるジャッドの作品を前にした私にはどうしても箱の行列…以上の感情がわかない。。。

(またかえってわかりにくいたとえかもしれないけれど、
中国語をまったく知らない私が中国語の小説を手にしてる感じ。
…うん、たしかに漢字。
そして、なんとなく意味もわかるようだし、内容も複雑そうだってことはわかるし、漢字いっこいっこもそりゃそれで洗練されている文字の形なんだろうけれど、
決して感動までは呼ばない。
なんかレ点うってみるとか、コツさえつかめば楽しいんだろうけど…
そんな感じ。)

前置きがだいぶん長くなりましたが笑、そんなわけで、よくわからないけどなんだか気になる、ジャッドが愛して自ら美術館を建てたという、超のつく辺鄙な土地に行ってみようということになったわけです。(こんだけ辺鄙な土地に建てようという情熱と、あの禁欲的な箱の行列のギャップに興味をそそられたのです…。)

LAからダラス、そしてさらにミッドランドへ。
ミッドランドはまっ平。そしてところどころに正円と四角形のパッチ模様。
空港で隣の席になったミッドランドの教会で働く父、ベンさんがいろいろ教えてくれました。
正円はクロレラ畑だそうです。水源は一番近くの川でも車で三時間とからしく、(しかもこの川がまた、グランドキャニオンと同じコロラド川らしい!)スプリンクラー栽培です。
そして四角の方が、結構な数あるんですが、なんと石油を掘ってる!
実際、降りたって車に乗り換えると、はじめは車が故障したのかと思ったくらいに、石油の香り…
そして、装置は寡黙な労働者…て言葉を思い出してつらいね、とみうちと話していたのですが、
信じられないような暑い日にも、
大雨の日にも、
ただただ平らな乾燥した台地の上で同じスピードでうなづき続けていました…
ミッドランドではこの一週間が一年で一番暑い!時期なんだそうで、
でもこの時期を越えたら、アリゾナの砂漠地帯のどうしようもないとこに比べたら全然ましなんだそう。
そして、マーファはそれより南ですが、そちらの方にいけば丘がちになってきてさらにすごしやすい、とのこと。ラッキー。
ちなみにベンさんは、マーファといえばミステリーライトで、ジャッドミュージアムは知らないな~て言ってました…
ミッドランド空港のあたりにはなにもなさすぎて、
降り立つとき
「ヘイっ!!あれが僕たちのいる教会。」
て突然いわれて、でもなんとちゃんと認識できました笑。

朝10時からの「ツアー」に参加するために、朝6時、まだ暗い中出発。
LAと違って、車の少ないこと!笑
そしてやっぱり常に120kmごえ。
常にではないにせよ、制限速度がそうなんです。
平から、マーファに近づくにつれ丘だらけに…気がついたらぐねぐね。
景色は緑色になってきて、寡黙な労働者もいなくなり、なんだかおとぎ話の世界になっていきます笑
木が少ない。
生えてても低くて、
すると鳥たちは草むらの中にとまる。
大自然の中に道路を通らせてもらっている状態だから、鳥の飛び出しが多いのには本当にひやひやしっぱなしでした…そんなに女の子に夢中になってないでちゃんと120キロでやってくる車を見てっ!

コンクリートの箱の列と、映画に取ったら黄金色に写るに違いないくさむらと(これはドライブ中から現れ出して、みうちと私はこれを「地球の産毛」と名付けました笑)、インパラっぽい動物(もののけ姫のヤックルに似た動物)が「放し飼い」にされている場所に到着。…ここに違いない笑。「ゲート」の前で待つ。
もともとはメキシコ独立から第二次世界大戦を経て兵士たちの駐屯地として使われ続けてきた場所なのだそう。
そこにジャッドが1970年頃から建築にも手を加え、作品も展示し、ほかのアーティストも招いて、ここを作ったのだそう。
新手の「美術館」です。

中途半端だけど、
つづく…

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